食事作りで考えておきたいポイント

訪問介護の仕事では、一人暮らしの要介護者のための生活扶助サービスとして、食事介助以外にも食事の準備や後片付けといったものがあります。実際の訪問介護の現場ではさまざまな世代の職員が働いています。そうした中、高齢者向けのメニューをどうしたらいいのかわからない、訪問時間が限られている上、他人様の家の台所という限られた調理環境の中で、喜んでもらえる料理をつくるのは難しいと感じるのは不思議なことではありません。

食事の用意のポイントとして大事なのは、食材を上手に使いまわして、使い切るための献立を考えることです。高齢者の一食分の食材をあれこれ買うのは不経済ですし、食材によってはある程度まとまった量でしか売られていないこともあります。さらに、中途半端に残った食材がいつまでも使われずに冷蔵庫にしまわれているのも衛生上好ましくありません。

総じて、訪問介護での食事作りは足し算ではなく引き算で考えるのが良いでしょう。栄養価が高いからと目新しい食材や、今までの食生活や食文化でなじみのなかった食材もプラスしないやり方を選んだほうがベターです。馴染みのある調味料といりこや昆布、かつおなどからきちんと取っただしを使って、シンプルな食材と味付けで素材そのものの味を引き出す料理を出すほうが、経済的であり手間もかかりません。仕事は食事に関することだけではないため、時短調理の工夫が必要になってきます。そうした中で、よりよいパフォーマンスを発揮するためにも、料理の基礎ともいえるシンプルな献立をしっかり熟知しておくことがポイントだといえるでしょう。